50代からの一級建築士挑戦 ~二次(製図)試験結果
2023年大晦日。今年は、頑張ったような、頑張らなかったような一年でした。自分の理想が高すぎるのか、自分の体力(実行力)が衰えたのか、わかりません。もやもやの1年でしたが、その評価にとどめを刺すはがきが届きました。
10月8日に受験した一級建築士 二次試験(製図)の結果通知が12月29日にはがきで届きました。無情にも「不合格」でした。ランクも言い渡されます。「ランクⅣ」でした。「ランクⅣ」は、「設計条件および要求図書に対する不適合に該当するもの」ということで、図面の採点の遡上にも乗らない、受験者が最も恐れる「一発アウト」でした。受験当日から判明していたことでしたが、「ある点」以外ができた感触があったので、一縷の望みを抱いていました。(そうでもしないと、10月以降ショックが大きかったからです)
今年令和5年の一級建築士試験は、7月23日に一次試験の学科(計画・環境設備・法規・構造・施工)が行われ、10月に二次試験(製図・記述)が実施されました。今年は、前年令和4年と同じ合格率で、一次の学科試験が16.2%(前年21.0%)、二次の製図・記述試験が33.2%(前年33.0%)で、総合合格率は9.9%(前年と同じ)、全国で3401名合格でした。
製図試験は、前年とほぼ同じ合格率でありましたが、合格ランクⅠ以外の不合格ランク(Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ)の構成が大きく変わりました。「ランクⅡ」(知識および技能が不足)、「ランクⅢ」(知識および技能が著しく不足)、「ランクⅣ」(設計条件および要求図書に対する不適合に該当するもの)のうち、採点の俎上にのらない「ランクⅣ」が昨年28.5%から今年42.6%に増えました。ほぼ受験生の半分が「一発アウト」となりました。
今年の製図試験の大きなテーマは8月に発表されており、「図書館」でした。それを、A2サイズの図面とA3サイズの計画の要点(構造計画・設備計画・配置計画ほか)に製図版を持ち込んで、6.5時間で仕上げていきます。
よく言われる時間配分は、2時間30分でA2用紙に書かれた課題読取りと事前検討(エスキス)を済ませて、1時間で「計画の要点」を記述し、残り3時間でA2図面に製図する流れになります。A2の図面には、1階、2階、3階の平面図と、立体をある部分で切断した断面図の4つの図面と面積表をA2サイズの用紙に記載していきます。かなりタフな試験です。11時からスタートして、17;30に終了します。千葉県では幕張のホテルの広大な宴会場を借り切って700人がぎゅーぎゅーに席を埋めてテストがありました。6.5時間は長いように見えますが、上記課題をこなすには普通ではとても間に合いません、食事もトイレにも行けません。終了後、手が鉛筆で真っ黒になります。
今回受験者で「ランクⅣ」をつけられた42%の人が「一発アウト」となった理由は、「ある点」で違反したからだと思います。建物の高さの「北側斜線制限」建築基準法違反です。私もその一人でした。
今年初めて、「北側斜線制限」による高さ制限が計画の条件となりました。それは、直接的に問題で指示されることはありません。問題文の中でそれを読み取らなければなりません。一般の人でも、建物の高さには、近隣の日照の確保を目的として北側斜線制限による制限があることはご存じの方は多いと思います。しかし、この北側斜線制限は住宅地域のみの制限で、商業地域などでは北側斜線制限はありません。一級建築士は二級建築士と異なり、300㎡以上の大規模建築ができる資格なので、試験で一般住宅を意識して北側斜線を考慮して製図する試験はこれまで出ませんでした。しかし、今回は、敷地の用途地域が中高層住宅地域という、過去初めての住宅地域内の建物として「図書館」の設計課題が出題され、北側に公園がある問題でした。図書館は特例的に住宅地域での建築が認められているというスキを突いたレアな問題でした。住宅地域となると、公園であろうが、建物の高さに北側斜線制限が出てきます。すなわち、公園との境界線から最低2mセットバックして建てた建物でも、最高の高さが2m*1.25+10m=12.5mを超えて設計したら法律違反となります。しかも屋上に出るための塔屋や屋上設備の高さも加味しないといけません。1Fごとの高さが5mとすると、3F建で計画して製図を始めてしまったら、15m以上となり、北側斜線制限を違反することとなります。いやらしい問題でした。
私はそれにまんまと引っかかりました。製図が終了し残り30分の見直し時間で気づきましたが、残りの時間でA2図面4つを書き直すには時間がありませんでした。その点以外の課題の、構造計画・設備計画(空調・電気・水道他)・図書館レイアウト・防火設備・バリアフリー設備・外構・階段・記述ほかがほぼクリアできても、この北側斜線制限違反1点だけで不合格になる厳しさが身に沁みました。
下の写真が、私の答案(復元)です。
その受験のために、高い授業料約100万円を払い、4月から6か月毎週A2の製図を2枚仕上げて頑張ってきましたので、試験直後にミスをわかっていたものの、今回改めて不合格の通知を受けると、この年末大掃除も手に付きませんでした。来年以降、あと2回は製図試験のチャンスはあります。来年も講習に通い、チャレンジすることとしました。
やはり次のステップとして、自分で設計した住宅を建て、不動産屋さんを立ち上げ、定年後のビジネスにしたいという夢を目指していきたいと思います。
さて、 その授業料のために、株式市場最終日に、40万円(1.5倍の値上り)の差益のある商船三井200株を仕方なく売却し現金化しました。これで株式も、長期保有株以外は旧NISAを一掃し、来年新NISAでゼロからリスタートできることとなりました。
来年2024年=56才は、娘の中学受験が5年生で本格化することもあり、役職定年・遠距離仕事・製図学習・中学受験の伴走の両立、はたまた仕事の転換、親の介護などのリスクを考えると、かなりハードな50代後半の一年となるそうです。良い年でありますように!!
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