建築めぐり~京都府(その2)= 聴竹居

2023年11/21。京都駅で京都駅ビルを散策した後、1900年代初頭に建てられた個人邸で、「環境共生の原点」といわれる重要文化財「聴竹居」を内覧するため、JR京都線で山崎駅に向かいました。
京都駅から20分ほどで到着、小さい田舎駅です。 

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しかし、外国人観光客もずいぶん降車します。サントリーの山崎蒸留所が近くにあるからです。外国の人もよく調べてここまで来ていることに感心します。 

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山崎は、知りませんでしたが、ここに三大国宝茶室の「妙喜庵 待庵」があるようです。予約制だそうです。また、豊臣秀吉と明智光秀の戦いである山崎の戦でも有名で、「天王山」のふもとになります。(それらのことは、山崎駅で時間をつぶしていると、鼻歌を歌ってきたトレパン姿のおじさんがいろいろ説明してくれました。関西の人のいいところです)

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聴竹居は駅から歩いて10分ほど、天王山の斜面にあります。
予約はなかなか取れず、1か月前に予約をして本日11:15から内覧することとなりました。同時間の参加者は女性5人、男性3人で、東京から来た人もいるようでした。眺めの良い庭で待っていると、声がかかり1500円とスリッパ代100円、写真撮影許諾書を記載して内覧がはじまりました。内部撮影写真はネット上に載せてはいけないということなので、外観のみ掲載いたします。(こういう話はどこでもあるのですが、けち臭く、理屈があって無いような気がして嫌になりますが、美しいものを眺める気持ちに戻して内覧します)

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さて、聴竹居は、1929年 京大教授である藤井厚二氏が、山崎の地に広い土地を購入しその地の気候風土を、いくつかの住宅を建設・居住し調査したうえで、温湿度、日射夏、気流、西洋の新しいスタイルを取り入れて、第5回住宅として建てられた173㎡の木造平屋です。そのため、「実験住宅」といわれるそうです。いわゆるパッシブ=自然エネルギーを生かした建築計画で、また洋風・和風を統合したデザイン、居間を中心とした室がつながったレイアウト、モダンな造作、当時では先進的な電化製品(冷蔵庫)を備えた住宅です。小川から冷気を床下に取り入れるクールアースを導入したりしていて、一生懸命考えていて立派でした。隣にモダンな茶室(閑室)もあります。
造作は、マッキントッシュの掛け時計、F.L.ライトを彷彿させる幾何学的な造作がちりばめられていました。(4分の一の扇形が好きだったようです。しかし、デザインには長けていないか和室では発揮できていないように思いました)一方、内壁は和紙が張られており調湿・断熱を考えていたそうです。いいアイデアです。
総じて、お金持ちだからできたことだと思いますが、立派です。

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藤井さんの家族写真をみるとほのぼのしていて、京大教授が建てた家という難しそうなイメージを忘れさせます。それにしても、地域の風土気候をしらべて家を建てるというのは当然ではあるが、現代人では想像できないことを実践した偉い人だと思いました。

著書「日本の住宅」は、環境工学の最初の理論書だそうで、和風住宅と洋風住宅、設備、夏の設備、趣味という項目が書かれているそうです。東大を出て偉そうに大風呂敷を広げられることろを、生活に即して地道に住宅の快適さを研究・実践したことは感銘を受けました。

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