大企業での働き方(その1)労働時間・休暇 ~中小企業と何が違う?

会社勤めをしている人は、その会社での働き方や制度・環境しか知りませんので、それが普通だと思っているはずです。しかし、50歳を過ぎて、行く末を案じて、処遇・給与・退職金など人事制度に関心を持ち、会社の人事・福利厚生の多くの規程を読み込んでいくと、大企業ゆえの独特な制度・ルールがあることに気づきました。

ということで、私がいる大企業の職場制度を数回に分けてご紹介します。

今回は、「休暇」と「労働時間」についてご紹介します(オフィスで仕事をする事務職を前提)。

まず、そもそも「大企業」の定義はだいたい、メーカーであれば資本金3億円以上、従業員数300人以上だそうです。私の会社は、資本金1500億円、従業員数2万人以上ですので、大企業の1社です。一方、「中小企業」は、メーカーであれば資本金3億円未満、従業員数300人未満ということとなります。

日本の中では、大企業は企業数ではわずか0.3%のみ、従業員数は31.2%ということとなります。(中小企業は企業数の99.7%、従業員数で68.8%。)

という意味で、大企業で働く労働環境・制度は統計的にも特殊かもしれません。

1.「労働時間」について

最近は、テレワーク制度の導入もあり、ほとんど労働時間・場所に制約はありません。

(1)「勤務時間」は、事務職では、9:00-17:30で、途中12:00-13:00昼休みで、1日=7時間30分の勤務時間で、それ以上は残業代でだいたい単価2000円くらいが支払われると思います。管理職になるともらえませんでした。

(2)次に、驚くべき制度として「完全フレックスタイム制」があります。出退勤時刻を自己裁量で決めることができます。5;00~22:00の中で出退勤時間を自分で決めてよいことになります。例えば、月の勤務時間(7:30×勤務日数)内であれば、ある1日を14時間働いて、ある1日を1時間の労働だけにすることも可能となります。しかし、これを勝手にやり始めると職場は混乱すると思います。大半の人は9:00-17:30勤務にしており、家事を両立するために女性の人は、10:00フレックス出勤や、15:00フレックス退社という形で利用しています。

(3)さらに、コロナ禍で、「テレワーク制度」ができ、週2回のオフィス出勤以外は、自宅ほかでの勤務が可能となります。

2.「休暇」について

(1)「指定休日」:土日週休2日×52週=104日に、国民の祝日、年末年始(12/29-1/3)ほかで、119日。土曜出勤は全くありません。これによって、3日に1日は休みとなるので、それだけでも十分な気がしますが、それに加えて、

(2)「年次有給休暇(有休)」:つまり給与が減らされずに休める休暇として、1年間に20日、しかもその年余った休暇は来年度に繰り越せて、大半の人は翌年以降最大40日の「有休」を使えることとなっています。

(3)その他、就業規則には、数ページにわたる休暇の種類があり、いろいろな理由で休暇がとれる制度となっています。例えば、最近は、奥さんが出産した男性は「育児休暇」として90日が男性でも取得義務となりました。

また、「公助休暇」といって、いろいろな介護・養育・自己療養等で「有休」以外に年間50日休暇が取れます。 

そのため、いろいろすべての休暇制度を集めれば1年間位は給料をもらいながら休めてしまうと思います。精神的にまいって会社に来れない人などが「有休」に加えて「公助休暇」で「欠勤」(減給される休み)とならずに休暇を取っているのを散見します。

しかし、入社する学生にそうした福利厚生のメリットなどは有難味がわかりませんので、これが会社のPRとなっているとは思えません。大企業で働いて、結果的に気付いた良さでもありますが、やむなく休んでいる人たちが多く活用しているところから、逆に大企業の仕事の冷酷さ・厳しさを物語っているのかもしれません。

このシリーズ次回は、大企業の「福利厚生サービス」について、ご紹介します。 

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